(みなさんは見ないかもしれないけれど)ニュース解説の番組を見ていると,ごく普通の中高生がLine中毒になっているようです.一日に100件以上のメッセージをやりとりするなんて,信じられないといった感想を常識面して解説してたりしています.でも,ぼくらも相当なものですよ.今,調べてみたら私が昨年一年間に受け取ったメッセージは23,336通でした.一日平均約64通.恐しいことに,迷惑メッセージの数はこの数倍だと思います.Lineの短いメッセージと普通に何百文字がやりとりされる電子メールメッセージを比較すれば,どう控え目に見てもぼくらの方がよほど漬かっています.えっへん.お互いにどっぷりということです.
Lineも電子メールもITシステムなのですが,その仕組みも,利用者層も,利用にあたっての文化もかなり異なります.この違いが原因となって思いがけないトラブルがおきます.ただ,学生さんがどうがんばって主張したところで,学術生活をLineやTwitterで置きかえることは不可能です.大学生になったのですが,苔の生えた電子メールを避けていてはいけません.
ここでは電子メールを利用する上でトラブルになりがちなことをまとめておきます。自分の情報行動を見返しておかしなことをやっていないかどうか考えてみて下さい。
日常的に携帯メールをやりとりする間柄ならば、互いの携帯電話に相手のメアドが登録されています。ですので、相手からメールが届けばすぐに誰から届いたのか分ります。このような場合、私たちは改まって自己紹介をすることはしません。
でも、滅多にやりとりをしたことのない人にメールを送るときはどうでしょうか?たとえば、あなたが教員に初めてメールした時点では教員のアドレス帳にはあなたのメールアドレスは登録されていません。あなたが就職に関する相談で、企業の人にメールするときに、自己紹介をしなかったとしたら相手はどのように思うことでしょう。
以下では、学生生活のなかでトラブルになりそうな典型例を見ていきましょう。
funky_punky_donky_1_9_9_5@keitai.jp
などといったメールアドレスからの相談です。一体どこの誰から届いたメッセージかも想像がつきません。たとえば、ぼくは情報リテラシのクラスを三つ教えているから、情報リテラシだけ教えている先生と思われがちですけれど、その他にも大学院を含めて四つの授業を教えているから、「いってぇ、どこの野郎だ」ってことになるんです。よほど親切な教員であれば「名前と学籍番号、そしてあなたが履修している私の講義を教えて下さい」という返事を送ってくれるかもしれません。そういう行動に期待しないで下さいね。最近は標的型攻撃も増えてきて、セキュリティ管理者からは「怪しげなメッセージは開かずに捨てるように」と指導もされているんです。みなさんの立場からは、「私は怪しいもんじゃござんせん」なメッセージをお願いします。
悪い例 同じような場合なのですが、携帯メールではなくプロバイダから、科目名も自分の名前も書かない場合
プロバイダのメールアドレスから教員が学生を識別することはできません。ウェブメールやメールソフトの設定で、本名を正しく設定してある場合には、履修者名簿から当該人物を探すことはできるかもしれません。しかし、一人の教員がいくつもの科目を担当している状況でそのような手間を取ってもらえるとは思えません。対応に時間がかかることは間違いないでしょう。
以上をまとめます。日常的にメールをやりとりしない科目担当教員に授業に関してメッセージを送る場合には、適切な件名を用い、氏名、科目名を書いた上で要件を書くことを忘れないようにして下さい。
東工大メールは、みなさんの個人的な利用だけでなく、大学や教員たちからのさまざまな連絡に用いられます。たとえば以下のような連絡に東工大メールが使われます。
学長からの(インフルエンザなどによる)大学閉鎖の通達
休講のお知らせ
課題のヒントの提示
補助資料の案内
教務課からの呼び出し
このような通知はみなさんにとっても大切だと思います。東工大メールを日常的にチェックして下さい。
すでにパソコン向けに大量の迷惑メールが届いている現状を紹介しました。携帯電話の場合はそれほどでもないですが、それでもかなりの量が流通しています。ほとんどの方が携帯電話に迷惑メールフィルタの機能を設定していることと思います。この設定が過剰な場合には、実際には有用なメッセージがあなたの携帯電話に届かなくなってしまいます。
私が利用している Softbank の迷惑メールフィルタの場合、以下のような設定が可能です。
なりすましメールを拒否 → 差出人を詐称したメッセージは受信しません
ともだちメール安心設定 → アドレス帳に登録されている人からのメッセージは受信します
未承諾広告メールを拒否 → 件名に「未承諾広告」と記載のあるメッセージは受信しません。法律により不特定多数のメールアドレスにメッセージを送る場合には件名に「未承諾広告」と記載することが義務づけられています。このようなメッセージの受信を拒否する設定です。
URL (ウェブページのアドレス) を含むメールを拒否 → 迷惑メールの主な目的は、メールの読者を特定のウェブページに誘導することにあります。このため、多くの迷惑メールはウェブページのアドレスを含んでいます。この設定はそのような種類の迷惑メッセージの受信を拒否します。
パソコンからのメールを拒否 → 多くの迷惑メールがパソコンのアドレスから届きます。この設定を選択すれば、そのような迷惑メールの受信を拒否できます。
これらの設定のうち、URL を含むメールを拒否していたり、パソコンからのメールを拒否している場合には、きちんとした内容のメッセージが届かないこともあります。一度、迷惑メールフィルタの設定を確認してみて下さい。
わたしは URL を含むメールの受信を拒否し、「ともだちメール」安心設定を利用しています。このため、知らない人から URL つきのメールが届いても受信することができません。アドレス帳に登録されている知人からのメールならば、URL が含まれていても問題ありません。
まれに携帯に届かない場合もあるのですが、同じ内容のメッセージをパソコンの方にも送る設定にしているので、パソコンに届いたメッセージを確認すれば受信できないことはありません。
迷惑メールフィルタが邪魔をして、本来、有用なメッセージが読めない場合について考えてきました。
このほかに携帯電話では処理能力が充分ではないために、メッセージの内容が確認できない場合があることを知っておきましょう。たとえば、大きなファイルが添付されたメッセージの場合、このファイルの中身が読めないのはもちろんのこと、添付ファイルの後に書かれた文面も読めないかもしれません。また、添付ファイルのなかにはワープロや表計算のソフトがないと中身が確認できないものも多いです。携帯電話で読めないメッセージはパソコンで読むようにしましょう。
多くの人が東工大メールの転送先に携帯電話を指定しています。このように設定すれば、メールが届けばすぐにそのことを知ることができて便利だからです。でも、携帯電話だけでは用をなさない場合も多いです。もしかしたら重要なメッセージが迷惑メールとして処理されて、携帯電話に届いていないかもしれません。また、確かに届いてはいるのですが、内容を把握できないこともあります。最低でも一日に一度はパソコンの環境でメールを確認して下さい。
教員や(将来の就職活動で接する)企業の人は画面が広いパソコンでメールを読んでいる可能性が高いです。そのような相手に、携帯電話の小さな画面にやっと収まる程度の必要最低限の内容を書いてしまうと、礼を失することもあるでしょう。日頃から、場合によってはビジネスレターとして恥しくない体裁の文章力を身につけましょう。